XLV
赤の女王 : 性とヒトの進化 性の意味は何か、進化学の大きな問題として、まだ結論は出ていないのであろう。その中で、赤の女王仮説はもっとも有名なものである。その由来は、鏡の国のアリスのなかの、チェスの赤の女王の言葉にある。私は毎年の新入生の講義の中で、それを紹介してきた。その元がこの本である。この言葉は、いろいろな演説や講演で、もっとも良く引用される言葉であるといわれている。「走り続けても、いまの所にいるのがやっとである」。たしかにいろいろなところで使える言葉である。本書の後半については、いろいろな批判もあるが、性というものの意義を対象とした古典的な本として評価されているものである。この本は、あるとき、神田の古本外で3冊500円で見つけたもので、当時は絶版になっていて、なかなか見つからなかったものであった。 学長 磯貝 彰 ※ 書評中の身分・表現は当時のものです。 |