XXVII
分子生物学に魅せられた人々

日本分子生物学会編


 本書の前書きでこのシリーズの編集委員長である永田恭介先生は、本書について、「研究スピードが加速する中、分子生物学が今日に至った道筋を記録することは、これが記憶の奧にしまい込まれてしまう前に、また温故知新の意味合いからも、重要と考え、日本の分子生物学の小史を書き留めることとしました。」と書かれている。
 このように本書は日本の分子生物学を切りひらいてきたパイオニア的の研究者から現役の中心的研究者までの14人研究者のインタビューをとりまとめたものである。 
 それぞれの時代のそれぞれの研究者の生の声が伝ってくる。また、日本の分子生物学の夜明けの時代の雰囲気も伝わってくる。それが、編集者の最も意図したものであろう。また、研究とは人の営みであることが改めて分かる。それぞれのすぐれた研究者はどんな思いで研究を行ってきたのか、分子生物学を学ぶ学生だけではなく、広く「いきものの科学」を学ぶ学生や若手研究者には是非読んで欲しい本である。きっと元気が出るはずである。

学長 磯貝 彰

※ 書評中の身分・表現は当時のものです。