Abstract:
本稿では,公共図書館による学校連携を促進する教材検索システム(BookReach)の開発に向けた
予備調査として,実際の教材選定の基準やプロセスを明らかにするため,A 市図書館の司書2名に半
構造化インタビューを行った結果を報告する。インタビューに先立ち,中学理科の教材となる図書を
A 市図書館の蔵書から選定するよう司書2名に依頼した。そして,教材として選定された図書のうち,
A 市図書館の蔵書データベースからキーワード検索では抽出できなかったものについて,選定理由を
尋ねた。その結果,事前に教材になると知っていた図書以外では,書名に「理科」を含む,科学者に
関係する,目次に単元のキーワードを含む等が挙げられた。また,キーワード検索では抽出できるが
教材として選定されなかった図書については,非選定理由を尋ねた。その結果,内容が古い,内容が
難しい,図・イラストが少ない等が挙げられた。また,司書は教材選定を行う際にはまず書架をブラ
ウジングすること,内容が易しい図書を優先して提供すること,既存のブックリストを参考にする場
合があること等も分かった。最後に,今回の調査の結果を反映させた BookReach の機能要件を整理した。